Resources & 3R Revolution(RRR)は、金属資源にまつわる様々な社会的問題に若者として取り組むプロジェクトです。

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レアメタルを取りまく問題
■ issues

アフリカ中部の紛争地帯、実はここにある一部のレアメタル等の鉱物資源が、この凄惨な紛争の資金源となっていると言われています。これらは一般に紛争と関わりのある鉱物という意味で“紛争鉱物(conflict mineral)”と呼ばれるようになりました。そして2010年の米国の新規制によってこうしたレアメタルを使用する電子産業界などはこの問題に目を向けざるを得なくなっています。

● 紛争鉱物規制の内容

 アメリカで成立した紛争鉱物規制とは、リーマンショックの対応策として提出された金融規制改革法(あるいは“ドッド・フランク法”)の1502条のことです。その内容は、アメリカの証券取引所に上場している企業に対し、製品における “紛争鉱物”の使用状況を開示・報告させるというものでした。鉱種の範囲としては、紛争を抱えるアフリカのコンゴ民主共和国とその隣接諸国で産出されたタンタル(鉱石:コルタン)、スズ(鉱石:スズ石)、タングステン(鉱石:鉄マンガン重石)、金(鉱石:自然金等)の4つであり、頭文字をとって3TGと呼ばれています。 一部の日本企業もこの規制の対象になる他、米企業に部品を納入している場合にも、米企業側から“紛争鉱物”の不使用の確認される可能性があります。よって日本企業にとってもこの新規制は対岸の火事ではない、大きな問題となったのです。

● 紛争鉱物規制の狙いは?

 アメリカの紛争物規制は、企業側に更なる調査費用等の負担を強いるものです。2013年には最後の懸案となっていた細則も公表され、本格的に施行が開始されました。  ではなぜこうした規制をアメリカは世界に先駆け採択できたのか? ここにはおそらくアメリカの安全保障や資源戦略も絡んでいるのではないかと私たちは考えています。本規制の建前としては、“紛争鉱物という企業の事業活動上のリスクを投資家に情報開示させる”というものです。 ただし一方では、この規制に続いて米政府の絡む紛争地域周辺(大湖地域)での“健全な”資源開発協力などが進んでいて、アフリカの豊富な鉱物資源をクローズドなパイプで米市場に供給することができると謳っています。 実際、この鉱物資源の豊富な大湖地域では中国系企業などが多く活動しており、新規制にはこのような資源セキュリティの側面もあるとの指摘がなされているのです。更に加えて、コンゴ東部の密林地帯で活動する武装勢力は、ソマリアのイスラム過激組織との関係も噂され、コンゴ産ウランの密輸にも関与できる可能性があるため、安全保障上の意味も十分にあるのでしょう。(この規制設立を主導したNGO“Enough Project”は、アメリカ民主党下の政策シンクタンクによって組織された戦略NGOであり、“正義”と“国益”をすり合わせた見事な策にみえます。)

●進む取り組み

 とはいえ、アフリカから紛争の災禍を無くすため、紛争に関係のある鉱物取引に違法性を持たせる(実際には米規制では開示義務のみで罰則もないが、評判リスク等は発生する)こと自体は意義があると、この規制を主導したNGOは述べています。 各国の思惑がどうであれ、それを批判している場合ではなく、私たち日本も問題自体や世界がどのような方策でもって立ち向かおうとしているのかを知って、戦略を考えなければならないはずです。現在世界では、様々な紛争鉱物問題に対する取り組みが行われています。代表的なものとしては、

・紛争/ハイリスク地域産鉱物の責任あるサプライチェーンのためのOECD デューディリジ ェンス・ガイダンス
 …サプライチェーンにおける紛争鉱物排除の基本的な枠組みを提案
・EICC/GeSIによるサプライチェーン監査プログラム
 …対象となる金属の製錬所を監査していくことで、紛争鉱物を市場から排除

等があり、日本の電気・電子業界団体であるJEITAも対策チームを設立、対策に乗り出しました。今後もこうした取り組みは続けられていくものと考えられます。
 私たちRRRとしても、こうした資源に関する問題を若い世代からしっかり見据え、資源小国日本の未来を切り開いていかなければならないとの思いから、2011年よりパナソニック株式会社様と連携し、中学校向けの紛争鉱物に関する教材開発と出前授業のプロジェクトを行ってまいりました。 アフリカ大湖地域における紛争鉱物の問題は、当事国コンゴと隣国ルワンダ等を始め、多くの国の思惑が複雑に絡み合う国際問題です。よって一部の大企業が単独で努力をすれば、解決する問題でもありません。解決に向けては地球市民全体が問題に目を向け、方策を考えていかなければならないのです。


参考URL

・米NGO“Enough Project”
http://www.enoughproject.org/
・いくつかの米企業によるコンゴ“Solution for Hope”プロジェクト
http://solutions-network.org/site-solutionsforhope/
・JEITA 責任ある鉱物調達委員会
http://home.jeita.or.jp/mineral/index.html